なにかのまねごと

A Journey Through Imitation and Expression

秒速5センチメートル

 秒速5センチメートルを観に行ってきた。結論から言うと、観に行ってよかった。以下、ネタバレなし(のはず)の感想。


 やはり新海監督は絵の雰囲気作りが非常にうまい。絵の空気でキャラクターの心情を表現できている。その空気に、映画の中の世界に、気がついたら引き込まれてしまっていた。
 だからこそ、観ていて非常に気恥ずかしい思いをした。特に一話と二話。登場人物たちの、青臭い恋愛劇があまりにまっすぐに胸に届いたから恥ずかしくなったのだ。でもそれは、いいものを観たということの何よりの証左だと思う。
 そして第三話。このたった10分程度の第三話をどうとらえるかでこの作品の評価は間違いなく大きく変わる。私は青臭い望みを抱えながらこの第三話を観たから、最後の結末が悲しかったし、同時にそれはしっかりと受け止めなければならないものだと強く感じた。
 結局、この作品も今までの新海作品と同様に物語の中に没頭できるか否かで評価が分かれるのだろう。今作は超常現象などは一切登場しない作品であるため、物語への間口は今までの作品よりも広いのではないだろうか。私は前作の雲の向こう、約束の場所では置いてけぼり感を食らったが、今作は素直に没頭できた。


 最後に、ちょっとネタバレになると思うが、第三話で流れた山崎まさよしの主題歌は非常によかった。作品と歌のシンクロ率が高く、歌単体で聴くよりもずっと贅沢な気分が味わえた。


追記
 いろいろと感想を見て回ったけれど、この作品をほめていない感想の中ではhttp://d.hatena.ne.jp/yosino/20070318#p1の感想が一番納得できた。こちらはネタバレ感想なので注意。