なにかのまねごと

A Journey Through Imitation and Expression

秋田禎信BOX

 実はまだ全部読んでません。残すはパノのみ。でもすごいんでちょっと感想(ネタバレなし)を。

 私が秋田禎信信者になったのは明らかにエンハウがあったからなんですが、でも今回BOXを読んで自分がどんだけオーフェン好きなのかもよっくわかりました。もう読みながら「おお!」とか「うわぁ!」とか叫んでしまいましたよ。電車の中とかで読まなくてよかった。
 昔っから思ってることなんですが、オーフェンシリーズってなんか誰にでも思い入れが出来ちゃうんですよね。登場人物はみんなひとりひとり違う人達で、違う考えを持って、時に衝突したりもするけれど、でもみんな嫌いになれない。なぜなら、ひとりひとりがなんでそうなってしまったのか、ほんの少しだけどわかる気がするから。
 だから、登場人物たちの消息が少しでもわかると、なんか嬉しくなる。チャイルドマンの本名とか、サンクタムが最初に口にした人の名前とか、コミクロンとか。
 彼らは架空の人物だけど、でも秋田先生の文章を媒介にして私の中に住み着いて、もうずいぶんと長いこと私の友人でいてくれている気がするのです。実際、初めてオーフェンを読んだのは12歳ぐらいの頃で、それから数えるともう15年近くにもなります。その決して短いとは言えない間、私もずいぶんと変わったけれども、彼らもいろいろと変わっていたみたいで、本当に生きている友人に再会したような、そんな気持ちになりました。
 秋田氏の作品の大きなメッセージとして、変化と戦え、というものがあると思います。それは決して「変わるな」という意味ではなくて、現れてしまった変化を受け入れて生きていかねばならない、というものだと私は感じています。さまざまな困難と相対して、変わっていったオーフェンやクリーオウやマジク、ミズーにフリウにマリオ、そんな彼らの変化の軌跡はとてもまぶしい玉虫色です。
 願わくば私も、彼らのように自分を変える戦いが出来るように。