数学思い出話

 私は数学が苦手だった。そもそも算数からしてあまり好きではなかったと思う。計算が面倒くさかったのだ。しかしというかだからこそというか、算数の文章題は好きだった。解き方さえ分かってしまえば後は計算するだけでありその計算は簡単なものが多かったからだ。
 だが中学に入って数学でつまずいてしまった。計算が複雑になってきたからだと思う。計算中の足し算引き算で間違えるなどということは日常茶飯事だった。というわけで数学は図形問題以外は嫌いになってしまった。でも、図形問題は好きだったのだ。休み時間に友達たちと黒板に図形を書いてあれこれとパズルみたいに楽しんだものだ。
 そのパズルの中に今でも覚えている問題がある。五芒星に2本直線を引いて三角形を10個作れ、という問題だ。これを真っ先に解いたのは、大学で数学の博士後期にまで進学したH君だ。H君の解答は誰の目にも三角形が10個あるのが明らかなものだった。次に解いたのは私だ。私の解答はH君のものとは違っていた。私の解答は出来上がる三角形がいずれも小さくぱっと見では分かりにくいもので、H君は最初これは違うんじゃないかと言っていたが、正しいことを確認してくれた。楽しかった。
正解はこちら
左H君、右私の解答 

20110517追記 左側の方は不正解でした。申し訳ありません。しかし私の記憶から正解は失われてしまいましたが、H君の答えもまた正答であったのは同級生5人ほどで確認したことを覚えております。


 私と数学の関係が劇的に変化したのは高校時代だった。前述の通り私は数学が苦手で自分を思いっきり文系人間だと思っていたので、1年の時点ですでに文系クラスへの進級を決めてしまっていた。実際数学の成績は極端に悪く、何度か赤点を取ったくらいだ。そして2年時、数学2・Bの授業で微積分に出会った。数学の先生はこういっていた。
微積ってのは正直難しいです。理系クラスでも理解出来てない人がたくさんいます。皆さんは文系クラスなんでとりあえず計算の仕方だけ覚えておけばいいです」
 そう言われると跳ねっ返りのKZEさんとしてはなんかチャレンジ精神がくすぐられ、その授業の次の休み時間からずっと教科書とにらめっこをしていた。そして、ふいに分かったと思った。限りなく小さくなっても決して0ではないということ。だから無限に近く積み重ねることができるし、より精緻に面積を求めることができること。放課後、すぐに数学の先生のもとに走り自分の理解が間違っていないか確認し、満足感を得た。これがわかれば数学なんて怖くないぜ!と思って次のテストに臨んだが、やっぱり赤点だった。意味が分かっても計算になれていないと意味がないといういい証明になった。
 その後自分の興味関心の変化とモラトリアム的逃避行により理系大学を目指すことになり、受験と入学後に数学と向かい合うことになるのだけれど、長くなるのでその話はまた気が向いたら。