なにかのまねごと

A Journey Through Imitation and Expression

まどか☆マギカ12話の個人的解釈

 ニコ動での公開も始まり、いろんな方のいろんなまどマギ感想が出てきてるわけですが、感想というのはまず解釈があってから成り立つものであるからして、個人的な12話の解釈をしてみようかな?と思います。

まどかは世界法則に対するパッチになった

 まず、まどかの願いは「全ての魔法少女を魔女にはさせない」=「希望を持つことを絶望につなげない」ことです。これは、11話の避難所でのキュウべぇとの会話からも読み取れるかと思います。まどかはあくまでもそれだけを願っており、その結果が神になろうがなんだろうがかまわないと言っています。
 結果彼女は世界法則に対するパッチになったのだろうと推測しています。決して万能の神になったのではないことに注意。このパッチはソウルジェムが黒く染まりきる瞬間に、ソウルジェムを絶望の黒ごと浄化する働きを持つパッチです。この世界に対するパッチになることの辛さがマミさんやほむほむによって指摘されていますが、これがどんな辛さなのかちょっと考えてみました。それは、エミュを使ってゲームの1フレームごとに最善の行動を取り続け、しかもそのゲームにはエンディングが存在しない、というのが近いのではなかろうかと思ったりします。
 まぁそんな事を全ての時と空間を超えてやり続けるのですから、死ぬよりももっとひどいと思いますし自我もろくに保てないだろうし誰からも忘れ去られてしまうのもやむなしかと。
 けれどもまどかは、まどかのことを忘れてしまうというほむほむに、本当の奇跡があるかもしれない、と言ってリボンを託します。そして、もう一度また逢える、それまでお別れだと告げて消えていきます。

まどかが消えた後の世界

 まどかが消えたあと、世界から魔女という存在は消え去りますが、人の心の闇まではなくなりません。それはまどかの願いが絶望により魔女が生まれるのを防ぐことであり、すべての人が絶望しないようにするものではないからです。なので、新しい世界では魔女の代わりに魔獣が人々の心の闇の具現として現れます。まどかが消えた後の世界では、その魔獣を倒すことによって得られるエネルギーを回収するのがインキュベータのお仕事のようです。魔法少女との関係も、まどかがいた世界と比べるとwin-winに近づいたのではないかなと思います。
 そして、まどかが言っていた本当の奇跡は起きました。まどかのリボンはほむほむの手に残り、記憶も残っていたのです。だから、ほむほむは新しい世界でも戦い続けることができたのだと思います。

もう一度、また逢える

 さて、私は最初まどかはパッチになったと言いました。つまり、新しい世界に見える世界でも実は元の世界の法則=ソウルジェムが黒く染まりきると魔女になってしまう法則は生きているのです。それをキャンセルするのがまどかの存在です。これはキュウべぇの台詞、「ソウルジェムが黒く染まりきると消滅してしまうのは謎だ」というところから察せられます。けれどもまどかの存在を検証する手段がないのです。だからキュウべぇはほむほむに君の中の夢物語なんてことを言うわけです。
 そうして一番最後、黒い羽根をまとったほむほむが魔獣に立ち向かうシーンで、「大丈夫だよ」という誰かの声が聞こえます。
 まずこの黒い羽根は、ほむほむのソウルジェムが限界ギリギリまで黒くなっていることを表しているのだと思います。もとは白かった羽根が黒くなってるからそういうもんなんだろうなー、という程度しか根拠がありませんが。
 そして「大丈夫だよ」という声、これはまどかの声で間違いないでしょう。まどかが別れ際に言っていた「もう一度、また逢える」瞬間は、ほむほむのソウルジェムが黒く染まりきるその瞬間のことだと思います。その瞬間、ほむほむが魔女になってしまうことをキャンセルするためにまどかが現れる。その一瞬が二人の再会なのです。この「大丈夫だよ」という声は、ちょっとフライングしたまどかの声なのだろうと思います。そして、何が大丈夫なのかというと、魔女にはならないから大丈夫、私がいるから大丈夫ということなのだろうな、と思っています。