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左利き用木ベラ事件で気がついたこと

 私は左利きだ。そして世の中というのは右利きが多数派で、右利きに便利なようにできている。

 私はそんな右利きの世の中にある程度順応しながら生きてきた。ペンと箸だけは左を使うが、それ以外はみんな右手を使っている。

 それが当たり前だと思っていたし、自分は『両利き』なのだとまで思い込んでいた。

 だが、あることがきっかけでやはり自分は左利きなのだという意識を新たにした。そのあることというのは、結婚である。

 結婚し、家財道具を揃えるに当たって夫とともにキッチン用品の売り場に向かった。そこには普通の木ベラと、左利き用の木ベラが売っていた。私は迷わず普通の右利き用の木ベラを手に取ったが、夫は私を気遣って左利き用の木ベラを勧めてくれたのだ。

 私はペンと箸以外は右手を使えるから右利き用でいいと言ったのだが、夫は、そう思っていても実は左のほうが使いやすいかもよ、となお左利き用を勧めてくれたので、私はなんとなく押し切られる形で左利き用の木ベラを買った。

 そして実際に左利き用の木ベラで炒め物を作ってみると、使いやすい。今まで一人暮らしで自炊をしていた時もずっと右利き用の木ベラを使っていたのに、左利き用の方が断然使いやすいことに気がついた。

 このことで、普段何気なく『大丈夫だ』思い込んでいることでも、その思い込みを外してみるとまるで逆のことが見えることもあることに気がついた。

 これからは、そういう自分の思い込みに気がついてやりたいと思う。