なにかのまねごと

A Journey Through Imitation and Expression

生活を通じて意識を変えていく

 エッセイ漫画家、わたなべぽんさんが好きです。

 出会ったきっかけは、『スリム美人の生活習慣を真似したら1年間で30キロ痩せました』というダイエット本。スリム美人を真似る?という点を不思議に思ったところがきっかけとなって買ったのですが、この本は本当に良かったです。

 タイトルだけ見ると随分と即物的なタイトルだと思うのですが、実際にこのダイエット法で行なっているのは、美人を真似るという行動を通じて、太りやすい生活習慣の意識を変えていくということなのです。

 この本に代表されるように、わたなべぽんさんのエッセイ漫画は生活を通じて自分の意識を変えていくというところに特徴があります。

 この、表面だけで生活習慣を変えようとするのではなく、意識だけ変えて実際が伴わないものでもなく、その両者を兼ね備えているのが本当にいいのです。この点は、ダイエット本だけではなく片付け本である『ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました』でも生かされています。

 そしてその暮らしを通じた意識改革の集大成と言える本が、先日発売された『もっと、やめてみた。 「こうあるべき」に囚われなくなる 暮らし方・考え方』です。

 この本も非常に良かったです。

 やめてみることで新しいこととの出会いがあるという実感と、ラストの生まれ直しという話、そしてエピローグの最後の一コマ。生活を通じて意識が変わっていく様が、もう、本当に大好きです。

 

 考えて見ると、私たちは『暮らし』から離れては生きていけません。

 どんなに仕事で充実していても、家事は毎日やってくるし、体は日々変わって生きます。そんな家庭や健康のことを日々こなすことは、私たちの考え方と密接に関係しているのだとわたなべぽんさんの本を読んでいると思います。

 この『もっと、やめてみた』に収録されているラストの話、『生まれ直しの巻』では、子供の頃から続いていた歯の不調とそれを治療し終わったことで、生活習慣から生まれた歯の不調に伴う意識やコンプレックスと、幸せは自分の手でつかむことができるのだ、という話が説得力を持って語られます。

 ただ暮らしであったことを語るのではなく、かといって自己啓発のような話にだけ進むのではなく、この不思議なバランス感覚がわたなべぽんさんの何よりの魅力です。

 

 本当にいい本をありがとうございます、と心から思います。