なにかのまねごと

A Journey Through Imitation and Expression

足すもの、削るもの

 私は曲を聴きながら勝手にベーシストになる癖がある。時には勝手にコーラスの人になる。自分だったらこんなベースを入れるなぁ、こんなコーラスを入れるなぁ、というのを曲を聴きながらハミングして楽しむのだ。

 しかし、その楽しみ方ができないバンドがある。それは、クイーンだ。クイーンの曲はいくら聴いても勝手なベースやコーラスを足すことはできない。なので、余計なものは足せないクイーンの曲は完璧だと思っていた。

 しかし先日夫から、完璧とは足すものがなくなった時ではなく削るものがなくなった時のことを言う、というサン・テグシュペリの言葉を教わった。

 その言葉を念頭に置いてクイーンの曲を聴いてみると、さらに深く考えが刺激された。クイーンの曲に何も足せないのは、私が足そうとしたものがすでに削られた後だったからなのだ。削られきっているからこそ、余計なものが足されるのを許さない完璧さがあるのだ。

 この調和が創れる領域に立てたら、きっと世界が違って見えるんだろうなぁ。

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この記事はpplogに2年前に投稿したものの転載です。